この『平成15年度年報(Annual Report 2003)』は環境情報学部の専任教員の平成15年(2003年)4月から平成16年(2004年)3月までの1年間の研究活動,社会活動を記録したものです.本年報の目指すところは専任教員の主として研究活動に関する自己点検をするとともに,その公開によって環境情報学部のイメージを少しでも広く知っていただくことにあります.
本年報では,記載範囲をこの1年間に限定しているため,各教員の研究,社会活動の最新情報を知ることができる一方,学部総体としてのアクティビティをはかる目安ともなっております.本年度も非常に活発な研究,社会活動が行われ,学術,社会の両面において貢献することができたと自負しております.今後さらに,本年報所収の各教員の報告を契機として,共同研究など外部との交流が盛んになれば望外の喜びです.
『年報』はまだほんの7年間の蓄積にすぎませんが,その間の教員と学部の足跡を通覧することは将来への反省ともなり,自信ともなり,さらに希望ともなります.引き続き関係各位のご理解とご鞭撻のもとに,積極的な研究,社会活動を進めて行く所存です.今後とも多くの方々の一層のご理解を賜れますように工夫を加えて行きたいと思います.ご意見があればぜひともご一報くださるよう,お願い申し上げます.
平成16年(2004年) 3月
四日市大学環境情報学部
| 氏名 | 職名・学位 | 委員会(◎印は委員長) |
|---|---|---|
学部長 武本行正 |
教授・農学博士 | 大学協議会,自己点検・評価,全学教務,国際交流, コラボレーション運営,入試実施専門,カリキュラム |
学科長 波多野憲男 |
教授・工学博士 | 自己点検・評価,コラボレーション運営,入試実施専門,カリキュラム |
教学部長 小川束 |
教授・博士(学術) | 大学協議会,自己点検・評価,全学教務(◎), 全学学生(◎),国際交流,公開講座運営, コラボレーション運営,カリキュラム |
渉外部長 北島義信 |
教授・文学修士 | 大学協議会,自己点検・評価,全学学生 学生(◎),就職(◎),国際交流 |
情報センター長 植田栄二 |
教授 | 自己点検・評価,情報センター運営(◎) |
| 粟屋かよ子 | 教授・理学博士 | 教務(◎),全学教務 |
| 王健平 | 教授・工学博士 | 公開講座運営,職員共済会 |
| 大倉克己 | 教授・農学博士 | 全学教務 |
| 北畠正義 | 教授・医学博士 | 公開講座運営 |
| 木下勝弘 | 教授 | |
| 城之内忠正 | 教授・工学修士 | コンピュータセンター運営,ホームページ運営 |
| 高杉恒夫 | 教授 | |
| 田中正明 | 教授・博士(農学) | 共同研究,入試実施専門 |
| 千葉賢 | 教授・工学博士 | カリキュラム |
| 都島功 | 教授・工学博士 | 論集編集(◎),ホームページ運営 |
| 豊島正実 | 教授・工学修士 | 教務 |
| 新田義孝 | 教授・工学博士 | |
| 播磨良紀 | 教授・文学修士 | 全学学生,学生 |
| 古川路明 | 教授・理学博士 | 四日市大学学会(監事) |
| 山形多聞 | 教授 | |
| 吉山青翔 | 教授・博士(理学) | 入試実施専門 |
| 朝日幸代 | 助教授・修士(社会科学) | 就職 |
| 井岡幹博 | 助教授・農学修士 | コンピュータセンター運営 |
| 加納光 | 助教授 | 自己点検・評価,全学学生,国際交流,留学生協議会 |
| 黒島哲夫 | 助教授・農学修士 | 就職,職員共済会(監事) |
| 杉田詔子 | 助教授 | 情報センター運営 |
| 田中伊知郎 | 助教授・理学博士 | 共同研究,四日市大学学会 |
| 中西紀夫 | 助教授・法学修士 | |
| E.ブレイ | 助教授・教育学修士 | 公開講座運営 |
| 本部賢一 | 助教授・博士(工学) | カリキュラム |
| 山本伸 | 助教授・教育学修士 | 教務 |
| 飯島美夏 | 講師・博士(工学) | 論集編集 |
各教員の研究・教育報告の記述項目は大きく,研究活動,教育活動,社会活動からなる.
研究活動における本年度の研究課題・概要,創作課題・概要は2003年度の研究課題および創作課題の概要を記載したものである.発表論文・図書は,2003年度に発表した論文,図書,あるいは作品を記載したものである.2002年度以前に発表した論文・図書,作品に関しては,前年度以前の『年報』を見られたい.学部ホームページにも掲載している(URL: http://eis.yokkaichi-u.ac.jp/).なお本欄には,研究の最新情報を記載するため,投稿中のものも含んでいる.口頭発表欄は,2003年度中に開催された学会,研究会における研究発表,あるいは各種展示会における作品の出品について記載したものである.
教育活動における専任科目は本学部での担当講義科目を,兼担科目は総合政策学部や経済学部での兼担科目を,兼任先(担当科 目)は他大学への非常勤と担当科目を,それぞれ記載している.また,これらの項目に該当しない教育活動がある場合は,特別な教育活 動に記載している.各教員の講義概要については,『平成15年度環境情報学部シラバス(講義要項)』(四日市大学教務課)を見られたい.
社会活動における学会委員は学会における委員活動を,共同研究は他組織との共同研究を,外部委員は審議会委員などの学識経験者としての社会活動を,それぞれ記載している.また,講師欄には各種講演会における講演の記録を,学術論 文以外の発表物に研究活動の範疇に入らない発表物を記載している.
なお,教員の記載順序は五十音順である.
本研究は名古屋港ならびに周辺地域の経済に関する現状分析,次に港湾の社会資本による地域経済の分析,名古屋港における地域経済に対する波及効果の分析の3つを行ったものである.名古屋港の物流状況と地域経済との関係について,近年の傾向と特徴を各種調査データを用いて取りまとめている.次に港湾における社会資本による経済効果では,名古屋港の社会資本ストックの蓄積について取りまとめ,生産にどの程度寄与したかを分析している.最後に名古屋港への港湾投資による地域経済への波及効果を,名古屋市とその他愛知県への効果について,産業連関分析を用いて分析している.
平成12年度から3ヵ年で取り組んで作成した平成7年名古屋市産業連関表について,移入データ等のリバイス作業を行った。そして作業方法,さらに名古屋市産業連関表を用いて経済活動の状況を再度取りまとめた.
経済産業省資源エネルギー庁の委託事業である(財)社会経済生産性本部エネルギー環境教育情報センターのエネルギー教育調査普及事業・地域拠点大学に平成14年度に応募した。その結果,平成14年度から平成16年度の3ヵ年の研究を行うこととなった。この研究は小・中・高校の教員の方や行政,民間企業の方々18人と研究会を行いながら,エネルギー教育のカリキュラムを作成することが目的である。本年度はエネルギー,新エネルギーとして風力,ビオトープの3つについて教材の基礎となる情報収集を行った。そして三重県地域性を考慮するために,三重県下のエネルギー供給施設への見学会,久居市青山高原ウインドファームの見学会を行っている。さらに,研究会および勉強会を通して意見交換を行った。平成16年度は実践的な教材作り,実践的な授業づくりを行う予定である.
基礎セミナー<地域経済シミュレーション>,専門セミナー<地域経済シミュレーション>,地域経済シミュレーション,環境のための統計学,環境のための統計学,経済データベース論
四日市大学経済学部(データ統計処理1,データ統計処理2)
現在の環境問題は,20世紀の科学がミクロ世界まで進出したにも関わらず,マクロ世界で得られた機械論的思考の枠組みからのがれられないでいる点に起因する部分が大きい.その意味で,ミクロ世界とマクロ世界の統一をテーマとする量子力学の観測問題の解決は急務である.今年度は,何とかこの問題に決着をつけるべく,2000年マドリッドでの講演原稿をさらに掘り下げて,現在“Complementarity between Macro and Micro Warlds”なる論文を執筆中である.
2001年春の物理学会で,「(有志)環境グループ」を発足させ,世話人の一人として3年間活動してきたが,この春,物理学会の領域13の中に「環境物理」なる分野が公式に認められることとなった.今後は環境物理学そのものの探求を深め,環境問題に正式に専念できるようになった点で成果は大きい.個人的研究においては,今年度は昨年度に引き続き,個別の環境問題というよりは環境問題に取り組むための方法論的視点を中心に探求し,「要素への還元」と「創発性の発見」という2つの相補的な認識方法が環境問題を探る上で極めて重要であることを示した.
この間,水俣にも足を運び,四日市公害との接点など探ることができ,今後の研究活動の足がかりを得たことは大きい.
環境物理学a,b,環境測定・実験a,b,基礎セミナー,専門セミナー,卒業研究セミナー
本年度は熱可逆性多糖ヒドロゲルのゲル-ゾル転移を中心に検討した.低温で熱可逆性物理ゲルを形成する-カラギーナンのゲル-ゾル,ゾル-ゲル転移近傍の熱的性質を高感度示差走査熱量分析(HS-DSC)および水中での熱機械分析(TMA)により検討した.TMA水中測定によるゲル-ゾル転移測定法を確立し,さらにκ-カラギーナンヒドロゲルのゲル形成機構明らかにした.本内容は現在投稿準備中である.
既に商品化されている廃糖蜜含有ポリウレタン(PU)を利用したスポンジの生分解前後の物性変化を検討した.生分解前後のスポンジを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ,廃糖蜜含有PUから成るスポンジ部分は生分解後に,マトリックス部の切断が認められた.一方,生分解後の再生ポリエステル(PET)から成る不織布部分は,なめらかな繊維表面が観察された.生分解前後のスポンジを熱重量-示差熱分析(TG-DTA)および示差走査熱量分析(DSC)で検討したところ,明らかな挙動の違いが認められた.今後さらに詳細な研究を行なう必要性があると考えている.
本テーマは東京薬科大学環境ストレス生理学研究室との共同研究の一部である.転写調節因子ATF5の細胞内挙動を検討した.細胞内に内在するATF5の発現を確認するために,Western blottingを行なったが,各種の動物細胞にATF5が発現していることが分かった.ATF5を強制発現させた細胞に浸透圧ストレスを負荷させLuciferase assayで検討したところ,ATF5の転写が抑制されることが分かった.特に,ATF5のbZIP domainが抑制の作用を強く受けた.ATF5を強制発現させた細胞内でのATF5の発現量をWestern blottingにより検討したが,deletion mutantによる発現量の差は認められなかった.このことから,ATF5のbZIP domainが浸透圧ストレスで抑制的に応答することが明らかとなった.
環境水理学1,環境水理学2,コンピュータリテラシー,基礎セミナー1,基礎セミナー2,専門セミナー,卒業研究セミナー
3つの研究テーマのうちの「環境動態シミュレーションモデルの開発」のサブテーマ「流入負荷計算のプログラム開発」を担当している.平成15年度は,以下の項目について,作業を行った.
天津市の重金属汚染土壌を植物修復によって浄化することを目的とし,この調査では,1つの地点に焦点を絞り,重金属汚染の実態を把握する計画である.土壌の重金属分析結果をGISを使用して,汚染の拡がり,汚染源の特定等の可能性を探る部分を担当する.四日市大学環境情報学部,三重県化学振興センター保健環境研究部,北京大学環境学院の国際共同研究である.
三重県と県内高等教育機関が共同研究の1つとして,本学部提案の表題のテーマ(代表者:環境情報学部 武本行正教授,三重県側:科学技術振興センター保健環境部)が選ばれた.GIS部分の担当として参画した.対象地区として鈴鹿川流域を選び,関連データ(過去の鈴鹿川水質調査,流域の国土数値情報,衛星画像等)の収集,鈴鹿川の大規模な水質調査を行った.結果を,報告書としてまとめた.
この事業は,上記テーマのもと,5つのサブテーマで構成され,その1つである「医用ナレッジハンドリング技術の開発」(研究代表者:北陸先端科学技術大学院大学吉田武稔助教授)の共同研究者として,参加している.本年度は,マルチモーダルデータベースモデルの検討を行った.
データベース論,コンピュータグラフィックス,コンピュータグラフィックス演習,基礎セミナー(画像処理),専門セミナー(画像処理),卒業セミナー
現代社会において,人々の生活に最も影響を与える組織体は企業である.株式会社が私企業であっても企業の身勝手は許されず,許容範囲での自由行動を営む認識が必要である.株式会社の特質は,出資者と経営者の機能的分離にあり,したがって,これを経営する主役は経営者である.社会的責任を企業に結びつける考え方に対して,ここでは,責任の所在を明確にするため経営者に結びつける考え方を主張したい.株式会社の成長と共に経営者の倫理と責任の問題が浮上してきた.
経営者に求められる社会的責任の意味を考えると,基本的には企業の目的を達成すること,すなわち組織体の維持と成長を図ることである.ここで問題になるのは,国際化・情報化社会を迎えて,経営者の資質と考えられるものであり,具体的には人間性の問題,企業認識の問題,そして経営能力の問題などが問われるのである.経営者が企業をどのように認識し,企業の内外の環境変化に対してどのように的確に対応するかという能力が問題になる.要約すると,社会の目的や価値に照らして期待される経営方針を設定し,これを決定して実行する責任が経営者に課せられるのである.
社会的責任における「社会的」という表現のなかには2つの意味がある.第1はその対象の問題であり,第2はその期待にこたえるという内容の問題である.前者については,直接的には企業とかかわりをもつ利害関係集団に対するものであり,さらに拡大して社会全体や地球全体を包含するものである.後者については,それぞれの立場から求められる精神的・物質的・経済的・社会的などの欲求を意味する.こうした視点から,今日では,自然環境の保全問題や人類の生存問題なども含めて,善行的な意思決定と行動が経営者に求められる時代となった.
経営者の社会的責任を整理すると,第1に企業の目的を達成すること.第2に道義的・法律的に反する行為をしないこと.第3に企業本来の目的にとどまらず,人類にかかわる諸問題の解決に積極的に貢献し,広く環境改善と向上に取り組み,後世のためによりよい地球環境を真剣に考えるべきであるという「新しい責任論」の台頭である.従業員の地域活動への参加,各種機関への補助,人類の福祉と繁栄のための研究開発,自然環境保全への貢献などがこれである.企業の評価基準として精神的価値に対応する「企業の社会的貢献度」が注目され,わたくしの当面の研究は経営者と環境問題を結びつけて考えることである.
経営学,環境のための経営学,経営環境論1, 2.
経営学原理(経済学部),経営学,経営管理論(総合政策学部)
次世代のロケット・エンジンとして,注目されているパルス・デトネーション・エンジン(PDE)は,これまでの液体や固体ロケット・エンジンと違った燃焼方式,即ち可燃気体を衝撃波が伝播し,高圧な燃焼ガスの噴出によって推力を得る仕組みになっている.作動過程として,吸気混合,着火起爆,爆轟伝播,膨張掃気のサイクルになっており,燃焼効率が良く,比推力が高いことが特徴である.
パルス・デトネーション・エンジンの性能解析:
ユゴニオの関係式でチャプマン・ジュゲーの理論式及びフォン・ノイマン・スパイクの理論式を用いて,衝撃波後部の物理量を導き,相似性により,膨張波部分の分布を与えた.出口条件を仮定することより,PDEのデトネーション伝播速度,平均圧力,比推力及び周波数の理論式を導いた.開口端点火の場合と閉口端点火の場合を比較し,両者は性能的にほぼ違いがないことを確認した.さらに,一次元の数値シミュレーションを行い,性能値を含め,理論と良い一致を得た.
デトネーションの起爆に関する数値シミュレーション:
まず無限空間における着火問題で,直径2mm, 20atm, 1500Kの着火区域を与え,起爆できることが確認できた.いったん形成されたデトネーション波も広がるに連れて,衝撃波に弱められることが分かった.次に10cm×4cmのデトネーション管内の起爆に関して,閉口端に10mm, 20atm, 1500Kの着火区域を与え,衝撃波が形成される.それが広がるに連れて弱まるが,壁面にぶつかったとき,マッハ反射が起こり,燃焼が強められ,横波も形成される.この反射された衝撃波が再び中心軸でぶつかった場合,完全に発達した自己維持のデトネーションが形成され,7-8個のトリプル・ポイントを伴った波が開口端へ伝播する.これにより,壁面反射により,衝撃波からデトネーション波への遷移が重要な役割を果たすことが分かった.
プリデトネーターによるデトネーションの着火に関する数値シミュレーション:
デトネーション管の閉口端に小径のイニシエーター(プリデトネーター)を軸方向と平行垂直に取り付けた場合の5ケースについて,数値シミュレーションを行った.オーバー・ドライブされたプリデトネーターから出てきたデトネーション波は,まず膨張によって弱められ,強い衝撃波へと変わる.壁面にマッハ反射されると,横波ができ,その背後が再び燃焼が強まる.この両側からの波が中心軸で衝突した場合,自己維持デトネーションが形成される.軸と平行な場合よりも垂直な場合のほうが衝突の運動量が大きいため,デトネーションが形成されやすいこと,プリデトネーターの長さに関係がなく,幅に関係があることも分かった.
パルス・デトネーション・エンジンの排気に関する数値シミュレーション:
デトネーションが閉口端で起爆され,閉口端から噴出する過程を計算した.デトネーション波が推力管から出た後,段々弱まり,先頭が弱い衝撃波になっていく.一方,開口端からの膨張波が閉口端に向かって伝わり,推力壁での圧力が5atmから1atm(大気圧)に下げられることも確認でき,このタイミングで掃気過程を開始するのが良いと考えられる.
これまでに,スペクトル法は簡単な形状にしか適用できないとされてきたが,有限スペクトル法で,差分法並みの適用性が可能である.
中国天津市における重金属汚染土壌が生態系に及ぼす影響の実態調査を,本年度より本格的に始めた.既に平成15年3月に天津汚灌区で農耕地の事前調査を行い,平成16年3月に再びサンプル調査を行った.
数理物理の基礎,環境のための基礎物理,コンピューターリテラシー,基礎セミナー,専門セミナー,卒業セミナー
北京大学大学院(数値シミュレーション方法)
茎や果実の形態的変化が数ミクロン精度で計測できる歪み計を用いて,茎や果実の径変化と環境ストレスの関係を調べている.これまで,いろいろな植物を用いて計測をしてきた.その結果,茎や果実の直径は,日中あるいは明所で収縮し,夜間あるいは暗所で膨張することが明らかになった.本年度は,トウモロコシとナスを用いて,茎系変化,蒸散,気孔開孔度を同時に測定し,それら三者の間の関係を調査した.両植物において,茎径が収縮するときは蒸散速度が大きく,気孔開孔度も大であった.反対に,茎径が膨張するときは,蒸散速度が小さく,気孔開孔度も小であった.この時,トウモロコシの気孔はほとんど全部が閉じているが,ナスでは約50%の気孔が閉じているだけであった.双子葉植物を使った他の報告も参照すると,本研究に用いた維管束組織が茎中に散らばっている単子葉のトウモロコシでも,茎の収縮・膨張は導管の収縮・膨張に関係があると思われる.
都市環境に順応し,細々と生息する微小動物の分布を調査している.今年度は,国道23号線の雑草が生えている中央分離帯の土壌から微小動物を抽出して,その分布を調べた.比較として,大根やキャベツを栽培している畑土壌,落ち葉が覆っている神社裏の土壌,家庭の生ゴミを埋めている土壌も用いた.微小動物種の多様性からみると,神社裏の土壌が最も高く,生ゴミを埋めている土壌,中央分離帯の土壌,畑土壌の順であった.抽出した微小動物が分解者であることを考えれば,植物遺体の量が多い神社裏の土壌や生ゴミを埋めている土壌に微小動物の種類が多いのは理解できる.野菜畑土壌に微小動物の種類が比較的少ないのは,人間の食べるバイオマスの量は多いが,土壌に残る植物遺体の量はそれほど多くないことと,農薬の使用が原因であると考えられる.
中国では,工業発展に伴う工業廃水や生活廃水による都市近郊での重金属土壌汚染が進行している.天津市街地近郊でも深刻な事態になりつつある.特に,水銀やカドミウムによる汚染が顕著であるといわれている.汚染の可能性のある面積の広さを考えて,植物修復(Phytoremediation)が最も適していると考えられる.植物修復とは,重金属を高濃度に集積する植物を汚染土壌で栽培し,重金属を植物に速やかに吸収させるとともに葉・茎などに移行させ,植物を当該土壌から持ち出し,利用あるいは処理するものである.本研究は,北京大学環境学院,三重県科学振興センター保健環境研究部および四日市大学環境情報学部(武本,王,井岡,大倉)の三者による共同研究である.
環境生物学A.環境生物学B.環境生化学.応用生物学.基礎セミナー.専門セミナー.卒業研究セミナー
『綴術算経』は建部賢弘が享保7年(1722年)に著し,後に将軍徳川吉宗に献上された数学書である.本書には小数第41までの円周率の計算(Romberg法)や,円弧の長さの無限級数展開(Taylor展開)を述べたものとしてつとに有名である.ここ数年の研究の成果として2001年度より森本光生先生(国際基督教大学)と本書の英訳を進めてきた.本年度は第8章まで完了した.日本数学に特有のテクニカルタームの英訳が困難を極め,来年度も主要な研究の一つである.なお本年度は来日中の徐澤林氏(天津師範大学)を囲んで7月11,12日(国際基督教大),9月8日(四日市大)にセミナーを開催した.徐氏は『綴術算経』の研究家でもあり,中国からみた日本数学の研究のスタンスが興味深かった.
本編纂事業は単なる著作集の出版ということにとどまらず,日本数学史におけるテキスト批判,解釈批判の刷新を目指すものである.本年度は主に『不休綴術』の校異の作業を進めた.佐々木力先生(東大),森本光生先生と具体的な計画の策定を行った.
2003年10月より上野健爾先生(京大)と数学史のセミナーを立ち上げ,10月18日,11月15日,12月27日,1月25日,3月14日の計5回で沼田敬忠著『小学九数名義諺解』上下を読んだ.来年度はHuygens, "DeE Circuli Magnitudine Inventa Accedunt Problematum Quorundam Illustrium Constructiones"(1654)を読む予定である.
本研究は文部科学省特定領域科研費による研究の一貫として進めているもので,わたくしの担当は島根,鳥取,岡山三県の資料調査である.本年度は鳥取,岡山両県の博物館,図書館などを調査した.その結果,
などを発見することができた.
本年は環境論のための数学教育について研究を進めた.とくに社会系,文化系の学生にとって要求される数学の知識を整理した.この研究の結果は来年度教科書として出版される予定である.
基礎数学a,微分積分2,線型代数1(文系),同(理系),環境数値解析1(以上前期),基礎数学b,一変数の微積分(文系),同(理系),線型代数2,科学・技術史a(以上後期).
従来の現代中国語統語論研究は印欧諸語の分析方法をもとに進められてきた.しかしながら,現代中国語は文法範疇と文法形式とが基本的に対応する印欧諸語とは大きく異なり,言語表現の対象である現象・事象・心象などといったコトガラを話し手あるいは書き手がどのように認識するのかによって文法形式が選択されたり,話し手あるいは書き手がコトガラ全体をどのように捉えているのかまたは一つの言語表現を構成する成分のうちいかなる成分を新情報として取りたてるのかなどによって表現形式が選択されるという性格がより強い言語である.したがって,現代中国語の統語論研究はこの点を十分に踏まえて言語分析を行うことが重要であると考えられる. 今年度もこのような視点から,現代中国語のいくつかの表現形式について,それらの表現を話し手が発話するまでの発話のメカニズムの解明をとおして,当該表現の談話上の意味・機能を明らかにすることを中心に研究を進めた.研究論文「“快〜了”と“快要〜了”の表す意味とその表現意図」『中国学と日本語学の視点』(共著,白帝社,2004年3月)もこうした研究の一つである.
中国語コミュニケーション基礎,中国語コミュニケーション1・2,中国語講読・表現
愛知学院大学教養部(中国語1a・1b)
西洋近代を人類の普遍的モデルとして捉える思考に対しては,第三世界のみならず欧米でも,批判的検討がなされるようになってきた.日本ではまだ充分に取り組まれていないこの問題について,私はアメリカ主導の「グローバリゼーション」の批判と平和実現にかかわる人間の主体的社会的活動の理論的根拠を親鸞の『顕浄土真実教行証文類』の「証文類」の分析(とりわけ,還相回向の分析,未証浄心の菩薩の分析)を通じて明らかにすることを昨年以来,課題としてきた.この課題は,浄土真宗教団における「アジア・太平洋戦争協力」の理論となった「真俗二諦論」と今日のイラクの戦争への荷担とも密接にかかわったものである.この課題克服の方向性は,民衆の主体化に大きな役割を果たしているイスラームの現代化やアフリカにおけるキリスト教の現代化のあり方にも共通項を見いだすことができる.この研究成果の一部は,昨年8月の高田本山の佛教文化講座において報告された.また,これまでのまとめは,『親鸞と現代』(同時代社)というタイトルで今春,発刊される.本年度は,真宗寺内町の分析を通じて宗教と共同体の関係の問題を明らかにしたいと考えている.
アメリカ主導による世界の政治・文化のグローバリゼーションは基本構造にあるのは,「欧米近代」の価値観の絶対化である.そこにおいて政治と文化は不可分のものとなっている.それへの抵抗には,解放の神学,アフリカの状況神学,中東地域のイスラーム復興運動などが見られる.これらはいずれも,土着文化の現代的主体的把握が基礎になっている.ケニヤ出身の作家グギ・ワ・ジオンゴの小説『悪魔を十字架刑に』(1980年)は,この最初の試みであり,アフリカ口承文学の手法に基づいて,ケニヤのグローバル支配に対する抵抗のあり方を示したものであり,地域は異なっていても「下からの抵抗のグローバリゼーション」という点では共通項をもっている.現在,私はこの長編小説の翻訳に取り組んでおり,門土社より出版が予定されている.共同研究においては,本年,黒人研究の会創立50周年を迎えるため,編集長として事務局長山本伸氏とともに,単行本『黒人研究の世界』(青磁書房)発刊に向けて編集作業に取り組んでいる.
英語コミュニケーション基礎,英語コミュニケーション1,英語コミュニケーション2,英語講読表現1.
立命館大学法学部・政策科学部(「宗教と社会」)
中国北東部に位置する遼寧省の本渓市,大連市及び瀋陽市は,製鉄・鉄鋼・重機製造などの重工業を中心とした中国の代表的な工業地域であるが,大気汚染を中心とした環境汚染が進行しているにも拘わらず,環境対策及び住民の健康影響防止対策は殆どなされていないのが現状である. 大気汚染の健康影響の指標となるATS-DLD質問票及びISAAC質問票を用いて,慢性閉塞性肺疾患の有症率の調査を実施する.これらの結果と四日市地域において数十年研究を継続してきた慢性閉塞性肺疾患の疫学的な研究結果とを比較検討しながら,適切な環境保全対策の策定を行う.
ATS-DLD問診票による調査
気管支喘息,喘鳴症状,慢性気管支炎などの非特異性慢性閉塞性呼吸器疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Diseases,COPD)の発生には,大気汚染,家庭内環境その他の数多くの環境条件や,宿主要因などの諸条件が関与している.これらの諸条件の影響については,当然ながら,日本国内における調査でも,結果のすべてが一致しているわけではなく,ある程度の変動がある. このような環境条件などの影響は,日本以外の国に於いては,当然ながら日本との差異が予想されるが,これらについての詳細な調査研究,比較研究は,COPDの発生要因の研究についての大きな寄与をもたらすものである. 本調査は1997年より1999年の3年間に,中国遼寧省の本渓市,瀋陽市,大連市の3都市に於いて,学童年齢層(小学校1,6年生)の学童17,364人,及びその父母,祖父母などの同居メンバーの成員(成人)年齢層の32,588人について,日本と同様なATS-DLD問診票による調査を行い,COPDの有症率等を求め,四日市地域の疫学調査結果と比較しながら,大気汚染が及ぼす環境影響についての解析を行う.
ISAAC問診票による調査
上記1.の課題「−ATS-DLD問診票による調査票−」に於いては,ATS-DLD問診票による学童及び成人層についての調査結果について検討を加えるが,本課題に於いては,年少期である学童について,1990年に,国際的に開発,使用されるようになった自記式問診票であるISAAC(International Study of Asthma and Allergies in Childhood)問診票による各呼吸器症状有症率についての調査を実施する.調査対象地域は,上記の研究課題と同様な本渓市,瀋陽市,大連市の3都市で,これらの地区に於ける学童年齢層(小学校1年生,6年生)を調査対象者とする. 本調査では,国際的に使用されているISAAC問診票(日本語)を中国語に翻訳し,これを瀋陽医学院予防医学系の調査担当者によって調査小学校に配布し,記入を得てこれを回収し,小児に於ける喘息,その他のアレルギー性疾患について,これらの疾患を巡る問題点を明らかにする.
各種解析法による環境条件との関連について
上記の「ATS-DLD問診票による調査」,「ISAAC問診票による調査」の2研究課題に於いて,各種の環境条件が有症率に与える影響について,ある環境条件を有する群と有しない群(又はその程度の低い群)の比較によって,その環境条件の影響の有無,その大きさを評価することを行ったが,このような評価には,上記のような単純な比較検討だけではなく,色々な方法が考えられる.ここでは,下記のいくつかの方法を利用して別個の観点からの解析を行い,それぞれの方法についての考察,比較検討を行う. ここで問題となるのが,各種の環境条件は,相互に関連しあっており,互いに完全に独立しているわけではない.この点で問題となるのが,いわゆるバイアスと呼ばれている偏りの問題であって,特にその中で交絡バイアスと呼ばれている点が問題となってくる. このような問題を完全に解決することは大変難しい問題であるが,ここでは,多数のデータから成り立っている本調査を利用して,以下の解析方法による環境条件の影響の検出を試みる.
瀋陽市を調査対象地域として選び,同市内に居住する学童(汚染区内に居住の学童3,000人,非汚染区内に居住の学童3,000人)を調査対象者として,中国語に翻訳したATS-DLD質問票とISSAC質問票を使用して,慢性閉塞性肺疾患に関する有症率の調査を実施し,調査対象の学童のうち,質問調査票でスクリーニングされた対象者についてはIgEを定量的に測定分析し,呼吸症状との関連性について検討する.
四日市地域に居住する住民を対象者として,昭和58年から平成12年までの18年間の死亡届出票を使用して,季節変動が肺癌死亡に及ぼす影響についての解析を行う.同様に,慢性閉塞性肺疾患による死亡と季節変動との関連性についても検討する予定である.
環境衛生学,公害史,環境測定・実験a(気圏),環境測定・実験b(水圏),環境と保健(基礎セミナー1・2,専門セミナー,卒業研究セミナー)
三重短期大学非常勤講師(公衆衛生学),津看護専門学校非常勤講師(公衆衛生学),四日市市立四日市高等看護学院(環境論)
瀋陽医学院客員教授,ヘーゲル国際大学客員教授
出版文化全般にわたる研究:
講義「出版文化論」を構成する上での文献的な調査,資料の収集を継続的に行っている.とくに,人類がメディアを使用し始めた頃の考古生態人類学的研究成果を著した文献類,記事類の収集,また,マルチメディアが浮上してきた1980年代から現在にかけて,出版という概念も大きく変貌してきており,この変貌する実状を克明に追跡し,記録することも重要な課題となっている.さらに,インターネット時代となり,個人の情報活動が多様化するなかで,発信する前に既存のメディア状況を点検して批評できる能力の開発が求められている.メディア・リテラシー・プログラムの開発が急務となっている.以上を踏まえて,情報環境学の視点から,人類のメディア活動全般にわたるさまざまな局面,なかでも出版活動を文化論的,あるいはメディア論的に解説するための思考実験を,講義内容の開発をとおして研究していきたい.
マルチメディアオーサリング全般にわたる開発と研究:
電子出版セミナーを運営する上で求められる,各種アプリケーションへのアプローチ方法,ディスクトップ環境からさまざまな素材やコンテンツを効率的に制作できるようになるための教育的なプロトコルの開発,教習者のレベルに応じた作品サンプルの作成,また既存の出版物やオンライン上に存在する各種マニュアル類の収集と教育現場への適用にあたっての検討などを,私設の研究ラボ(情報工房伽藍)を中心に進め,その成果を教育現場に移植している.このような活動の中から,2003年度はセミナー生が中心となって発行するジャーナル“iMargin”を映像コンテンツで構成し,さらにDVDマガジンの可能性を探ろうとして"IMARGIN-DVD"を創った.セミナー第4期生が中心となり,2枚組DVDに3つのパートを創って収録し,自家生産して大学へ成果として提出することが出来た.これらの成果を踏まえ,本年度も文字メディアiMarginの定期刊行化(雑誌かDVD)を追究する.また,デジタル・アニメーションやデジタル・ビデオ・クリップ,デジタル・ミュージックなどへの挑戦を専門セミナーおよび卒業セミナーにおける最重点課題として押し進める.
プロトタイプとしてのメディア・リテラシー・プログラム:
社会全体がメディア化した状況下にあって,情報を発信することは当たり前になったとしても,その情報がいかなる社会性を帯びるのかと言った観点での点検はなかなか難しい.現在の日本においては,情報充満時代の「しつけ」ともいうべき教育が完全に欠落しており,簡単にネットストーカーを生んでしまったり,アダルト・コンテンツに手を染めてしまう状況が存在する.そこで出版メディア論2において2001年度から,メディアを客観的に点検する課題として,インターネット・メディアを対象とした評価作業をやらせている.2002年度および2003年度の出版メディア論2では,より実践的な評価作業をシリーズでレポートさせ(メールでの提出:全5つの課題でのレポート),受講生のレポートを受講生のみが閲覧できるセキュリティーを設けたHPに掲載し,受講生相互にレポートを閲覧できる状況下で授業を進めた.また,このような授業での実践的なメディア・リテラシー開発の成果をシリーズ化して論集に報告することが出来るようになり,四日市大学独自のメディア・リテラシー・プログラムの体系化の足がかりを築いた.
メディアミックス時代における新しいクリエーター像,新しいプロデューサー像の追求:
本学部メディア系の学生が卒業後,制作現場へ就職し,実際的な制作活動を開始するにあたって必要となるメディア・クリエーターとしてのビジョンを,明確に学生へ提示していく必要がある.そこで,これからのメディア・クリエーターに求められる諸条件を整理し,論理化していきたい.論理化すべき項目としては,ネッワーク社会対応型のコンテンツ・クリエーターとしての知識と技量の体系化,デジタルコンテンツのメディアミックス的運用における諸メディアへのアプローチ方法やコーディネーションをする上での方法論の確立,そして最大の課題は,社会性を持ち得る情報のコーディネーションとはいかなるものかといったジャーナリスティックな価値観,あるいはマーケティング的な発想の問題である.
出版文化論,出版メディア論1,出版メディア論2,基礎セミナー1,2,専門セミナー,卒業研究セミナー
従来から開発していたWeb上オンライン学習教育システムについて,以下のような拡張を行った.
イベント駆動のゲーム開発環境
従来のWeb学習システムは,マウスやキーボードイベントを扱えなかったため,作品はお絵書きやアニメーションに限られ,プログラミング演習としては物足りない状態であった.そこで,描画アプレット上でのイベントをJavaScriptから操作できるように拡張した.この結果,マウス操作に反応するプログラムをJavaScriptの範囲で実現できるようになった.つまり,Web学習システムがゲーム開発環境となった.これによってブロック崩しやもぐら叩きゲーム等のプログラムを組むことができ,オブジェクト指向プログラミングをWeb学習システム内でゲーム開発を通して体験できるようになった.
テスト駆動開発機能
最近流行しているアジャイル・プログラミング手法の中で,実用的ですぐ実践できる開発手法として「テスト駆動開発」が注目されている.テストコードを書いてから実装する手法によって,使いやすいコードが出来るだけでなく,すぐテストできることでプログラムを安心して修正できる.これをWeb学習システムに組み込むことで,テストを書いてから実装する開発スタイルも教育できるようになった.
サウンドオブジェクトと画像オブジェクトの導入
アプレット上での音の再生とイメージの描画機能を,JavaScriptから簡単に利用できるようにするためにSoundとPictオブジェクトを導入した.この導入で,リアルなゲーム開発が可能になった.
動的テスト問題の作成
プログラミングは,基本演習の繰り返しで身に付くものであるが,同じ問題だと解答を記憶してしまい,応用がきかない.問題を少しづつ変更すればいいのだが,手作業で修正すると膨大な手間がかかる.そこで問題を読み込む際に,問題の変更箇所を問題候補から自動選択し,コンテンツが動的に変わるテスト問題を作成した.テスト問題を繰り返し解くことで,採点の手間はかかるが学生のプログラミング能力の向上が実感できた.この方法のいい点は,何回も似たような問題を解くことで,プログラムのどこが変更できるのかという点をしっかり理解できることである.
個別問題に合わせた表示やコピーペースト制御
コピーペーストは演習の妨げではあるものの,使えないと不便な場合もある.このため,問題ごとにコピーペーストを制御できる機能を追加した.さらに,問題ごとに問題表示と実行結果の表示欄の大きさを指定できるようになり,より見やすく学習しやすい環境となった.
JavaScriptを利用したソフトウェア開発プロセスとして,手続きを分割し,変数をオブジェクトにカプセル化する手法を考案し実践している.この手法は,手続きという具体例から次第に抽象化するため,従来の抽象的なモデリングから出発するオブジェクト指向開発よりも,わかりやすい開発プロセスとなっている.JavaScriptは手続きプログラミングとオブジェクト指向プログラミングをサポートしているため,同じ機能を2とおりに表現できる.このため,まず手続きコードを作成し,そこからオブジェクト指向へ自然にリファクタリングされていくことになり,以下の点で実践しやすいプロセスとなっている.
本学部の年報は,従来Texを使って出版していたが,年報をWebへ掲載するときには,手作業でTexからWebページに変換する必要があった.今年度から,SmartDoc(XML)形式でドキュメントを作成し,Webページや印刷ページをSmartDocシステムで自動生成する方式に切り替えた.
コンピュータの動作原理や論理回路を学習するために,マイコンキッドの組み立てやロボットの製作実習を行っている教育機関は多い.文科系学部でハードの実習をする必要は無いと考えていたが,手を動かす実習は具体的で理解しやすいし,何より楽しいものである.そこで,差込式のブレッドボードを使った論理回路の実習セットを開発した.そのセットを使って,ダイオードによるAND回路,NAND回路によるDラッチ・Dフリップフロップ回路,1ビットCPU回路の組み立て,さらに,PICマイコンによる信号回路等が実習できる.
コンピュータ・リテラシーの授業を通して,学生の一部にタイピングが苦手なものがいる.タイピングが苦手なためにワープロ・表計算Webページ作成等に苦戦している.簡単な問題を繰り返すことで学習効果が高められることから,タイピング試験用のWebアプリケーションを作成した.このタイピング試験は,ひらがなのローマ字入力を確認するためのものであり,留学生などのローマ字入力に不慣れな人に配慮している.試験結果はWeb上のデータベースに登録されるため,自分の上達度を確認できるようになっている.さらにHTMLアプリケーションとして,ネットワークに接続していないパソコン上でも練習することができる.
Webプログラミング,コンピュータリテラシ,情報処理技術b,基礎セミナー,専門セミナー,専門セミナー
ダルクローズが発想したリトミックという本来の意味は,古代ギリシァの心・身一体思想からの発想であり,また,ルソーが述べた「感じる心の育成」的発想からきているものである.即興は即に興す,つまり,すぐに演奏するということであるが,ルネサンス以前のモノトニックな音楽様式や古くから伝承されてきた地域特有の音楽(民族音楽)にみられるオスティナートなど,即興の歴史的な観点からみると,バロックの通奏低音は,即興の習慣を伝えている.教会のオルガニストにあって,ミサの進行に合わせてオルガンを即興演奏する能力が必須要件とされていたし,今日でもオルガンの教育課程にも即興演奏が含まれている.リトミック音楽教育における即興演奏は,一定コード進行によるimprovisationと殆どの束縛を解いた自由な即興演奏free improvisationまで様々なスタイルをみることが出来る.そして,即興演奏するにはいろいろな方法,手順があると考えられる.そこで本年度は昨年度からの続きとして,ピアノ即興演奏研究会の月例会においての毎回の研究発表内容をまとめつつある.
世界各地に根ざした音楽の多く,例えば伝承歌,民謡をはじめ,諸民族が独自に育んできた音楽の多くは,伝承性を基礎として発展されてきたし,その多くは即興的センスに支えられている,と考える.現在,尚 多く民俗に伝承されているが,一方その習慣は,記譜のほぼ完成された17世紀以降,調性の確立される丁度同じ頃を契機として著しく衰えていった.そのような即興行為の経緯などについても研究を進めている.
音楽理論、音楽と表現、感性と創造、人間と文化a、人間と文化b
19世紀欧米近代社会が生み出した電気・電子メディアは,20世紀に入り進化し巨大化するとともに人々の日常空間に入り込み,「環境化」した.それはかつてW.リップマンが「擬似環境,Pseudo-environment」(1922)と名づけて以来,マスコミ論あるいは大衆社会論の系譜上に論じられてきた20世紀の社会環境の特徴であるが,世紀後半にはテレビジョンが出現し,映像のもつインパクトに加えグローバルな同時性を手にして影響力を強めた.今,マスメデイアの本来の機能であるジャーナリズムの復権が改めて問われているが,メデイアの依って経つ商業性に制約を受けているのが現実である.一方,メデイア環境はデジタル技術の進展により更なる転換期に入っており,多メデイア多チャンネル化,メデイア間のボーダレス化,特に放送と通信の融合,さらにはインターネットによる新しいコミュニケーションの出現などフレームの変容について把握しておくことが求められている.これらのための情報収集や事例研究を引き続き行った.
メディアが送り出す内容をクリティカルに読み解く「メデイアリテラシー」の研究と実践が各国で進んでいる.日本ではこの研究は遅れていたが,実践的な研究開発がようやく一部の学者やメディアの送り手により,小中学校などの教育現場もまきこんで始まりつつある.一年生を対象としてメデイアリテラシーの基本的な理解を目的として2001年にスタートした講義では,新聞・テレビニュースなどから直近の事例を多くとりいれ具体的なケーススタディを行った.またスタジオを活用して映像・音声に対する感性を育て,メデイア機器を使いこなして自らのメッセージを表現していくためのノウハウを身につけることも,メディアリテラシー学習の重要な一環であり,授業およびゼミの中で積極的に取り入れ映像作品制作実習等を行い,「Interview in四日市大学」「Next Making」などのドキュメンタリー作品に結実させた.照明,音響のゼミとの連携も年々進んでおり,その成果はメディア系の学生たちによる「学生作品展」や大学祭イベントなどを通じ外部にもアピールするよう試み,新聞各紙にもとりあげられた.
専任科目「メデイア・リテラシー」 「映像制作論」「環境情報学概論1」「環境情報学概論2」(オムニバス)専門ゼミ(メデイアと映像表現),卒業研究セミナー
現代社会において,人々の生活に影響を与える大気汚染物質は各種あるが,四日市公害で喘息の原因となったSOx(硫黄酸化物)に焦点をあてて被害予測をする.この基礎となる煙源量の推定と拡散計算を実行する.これまで用いてきた3次元の一般曲線座標系(general curvilinear coordinate)の大気汚染濃度予測計算モデルでは,地面に起伏があったり,丘陵地帯や山脈がある場合,その地形に沿った計算ができる.このような場合(四日市の場合は丘陵地帯がある)にはきわめて有効であるが,その反面,基礎式が複雑になり,簡単に取り扱うには不便である.平坦な地形の時は,3次元直交座標系(3-dimensional Cartesian coordinate)での大気汚染濃度計算モデルを用いた解析で十分であろう.そこで,3次元直交座標系での風速場と拡散場を交互に時間発展的に解く簡便なプログラムを開発した.そして現在,県・市・ICETTと共同で調査研究を実施している,中国の天津市内にある発電所や工場からの排煙ならびに飲食店や家庭暖房からのSOxの拡散を(石炭使用量から)想定して,着地濃度予測を行なった.
伊勢湾は東京湾と並んで汚濁の進んだ海域で,その原因としては,湾口が狭く湾中央が盆状にへこんだ閉鎖的な構造のために外洋との海水交換が悪いこと,水平規模が約50kmであるのに比べて平均水深が約20mと極端に浅水深であること,周辺に名古屋などの大都市を抱え汚濁負荷が大きいことが考えられる.そこで,大学独自の数値シミュレータを開発し,計算方法や乱れを表現するモデルなどの研究を進めること,また伊勢湾の流れ場の解析を実施して結果を公表してゆくことには意義が有ると考えた.現在,千葉教授と研究を進めているところである.また,有明海についても,諫早湾の干拓事業の問題とともに,海苔の深刻な色落ち・生育不良・病気など栄養障害の問題が2000年11月から2001年の3月まで発生した.そこで,湾の流況数値解析を行ない潮受け堤防の影響評価を現在千葉教授とともに行っている.さらに,英虞湾についても三重県との共同研究「閉鎖性海域における環境創生プロジェクト」に千葉,井岡 両先生とともに参加し,英虞湾の汚濁負荷量の算定を進めているところである.
波高および流れ場と溶存酸素量(DO)の拡散場を交互に時間発展的に解くプログラムを開発したので,矩形の港湾における湾口部での潮位の変動(M2分潮)と湾内へ流入する流量一定の小河川を想定して,そのDOの拡散状況を把握すべく,テストランを実行した.なお,今回は塩分濃度や水温の変動は考慮せずに一定値を与えている.また,DOの計算に際しても,海面の物理的な再曝気の項のみを評価し,植物・動物プランクトンや海草等による光合成や呼吸,代謝分解,底面の泥との交換等については考慮していない.また,将来は,実際の観測データを加味し,光合成等の寄与をある程度把握してDOやCOD値の予測ができるようにしたいと考えている.また,DOのボックスモデルで,英虞湾等のDO生産量を把握できないか検討中である.
河川の局所流解析のために,2次の非線形項を備えた非線形k-εモデルに基づいた計算方法を,バックステップまわりの乱流場の解析に適用した.モデルの係数はストレインパラメーターおよびローテーションパラメーターの関数として調節された.数値計算の結果は,現在の数値モデルが壁面に衝突したり,渦をまいて循環する領域近くの乱流エネルギーの過度の生産を抑えて,ステップのまわりの剥離および再付着領域のある2次元の複雑な乱流特性を再現することができたことを示している.この河川乱流場計算方法の開発は松江高専・木村助教授との共同研究である.
現在,赤塚植物園の開発したFFC資材が,水の改質,土壌の改質,有用微生物の増殖などの作用により,水生動植物に対する有益な効果,植物生育の促進効果,植物鮮度保持効果などに現れていることが植物園,農家,養魚場などで報告されている. 本研究では,これらの観察された事例のうち,主に水質改善と植物生育促進について,より精確に検討する.FFC資材による湖沼や池の水質改善効果を考慮して,水田でのFFC資材による水稲の生育改善効果と同時に,それがたん水状態の水田の水の水質や作土,耕盤,心土へと降下浸透した水の水質の改善に寄与しているのではないかと考えられる.そこで,これらの水質の改善効果を調査・検討し,FFC資材を用いなかったケースとの対照実験を行うものである.養液栽培の水稲・土耕栽培の水稲を用いた試験ならびに圃場条件下で水稲および畑作物を用いた試験において,それぞれたん水状態の場合は直接採水し,作土層や圃場の土壌からの溶液採取は減圧ポーラスカップ法により行うものとする.本調査研究は大倉教授との共同研究である.また,中国の土壌汚染に関しても共同研究として北京大学の環境学院と協力して,実態調査研究を開始すべく鋭意奮闘中である.これは三重県・保健環境研究部と協力した研究でもある.
環境情報学概論1,2,環境特殊講義(とりまとめ),環境のための基礎生物,コンピュータシミュレーションと同演習,環境工学,環境数値解析2(環境情報学部)
親から子へ直接物質として渡されるDNA以外の手段によって,世代を越えて情報を伝達する(以下社会的伝達と呼ぶ)は人類の重要な特徴であり,人類の進化に伴い発展してきた.しかし,DNAでは同一情報と保証されるが,神経系による学習と記憶による社会的伝達では,同一性が保証されない.人類進化でこの問題がどのようにクリアされてきたかを解明するため,人類に近縁な霊長類を対象として研究を行った.より自然に近い物を対象とするため,飼育下の実験でなく,野外のニホンザル(長野県志賀高原の地獄谷野猿公苑)を対象にした観察研究を行った.
観察の結果,ニホンザルでも母子間で共同注視を行い,同じ情報を共有して,社会的伝達における同一性を確立しているとわかった.人類では,視覚だけで乳児と大人で共同注視できるが,ニホンザルでは把握を補助として追加しより対象物を特定しやすくしている.この把握付き共同注視が,人類進化における先行パターンとして示唆された.さらに,母親の特性との関連を主題に研究を継続している.
授乳行動の観察データを整理し,母子の初期の絆に関する論文を執筆し,英文誌に投稿・受理された.
環境心理学・環境英語・環境のための基礎化学・環境化学計算・環境情報学概論1・環境情報学概論2・基礎セミナー1・基礎セミナー2・専門セミナー
本ゼミにおいては,顕微鏡一つを武器として環境問題と取り組むというスローガンの基に,湖沼や河川の生物相の把握や水質判定,さらに処理方法の検討等に取り組んでいる.また資格の取得として,生物分類技能検定或いは公害防止管理者を目指しており,各々の学生に実際の共同研究の一部を分担させることでより理解を深め,興味を持たせ,その後の質の高い卒業論文の作成にもつながるよう努めた.
生態学,陸水学,海洋環境学,森林学,基礎セミナー,専門セミナー,卒業研究セミナー
これまで,伊勢湾,名古屋港,有明海などの閉鎖性海域の流動特性を研究課題としてきたが,三重県地域結集型共同研究事業「閉鎖性海域の環境創生プロジェクト」の立ち上げに伴い,英虞湾の環境動態の研究を中心に据える事にした.この研究事業は閉鎖性海域の環境浄化を図るもので,具体的には英虞湾を対象にして活動を展開し,その成果を他の閉鎖性海域の環境浄化に役立てるという目的を持っている.平成14年からの5ヵ年計画で,単年度に5億円近い研究予算が投入される.この研究事業では,実際に地域と連携しながら環境浄化に取り組むことが求められ,自分の専門外である観測や水質分析などにも深く係わる必要がある.自分の研究を社会に還元できる機会であり,また研究活動の幅を広げる良い機会でもあるため,当面は英虞湾の研究を中心に据えることにした.
この事業は次の3つの研究テーマに分かれている.この中の研究テーマ3「環境動態シミュレーションモデルの開発」に関して大役であるが研究リーダを務めることになった.専門外の内容も多く含まれるため,他の研究者と協力し,補完しあって研究を進め,社会に役立つ成果を残したいと考えている.
この事業の中での自己の研究課題は次の通りである.既に事業の1年目はほぼ終了し成果が見え始めている.英虞湾の流動・水質調査も数多く実施した.現在は調査結果を整理して,湾の海水交換特性,物質循環特性の検討を行っている.平成16年度は基礎生産量調査,底質調査などが中心になる予定である.
昨年度は,九州大学の小松利光教授を中心とする有明プロジェクト「文科省・平成15年度科学研究費補助金基盤研究(A)(1)有明海の流れ構造の解明と蘇生・再生のための調査研究」に加わり,有明海の一斉調査にも参加した.自分の担当分野として3次元水質シミュレーションの実施が求められているが,英虞湾の研究負担が大きく,直ぐに取り掛かれない状況にある.英虞湾の流動・水質モデルが軌道に乗れば,それを有明海に適用することは可能であり,少し時間は遅れるが,いずれ有明海の解析作業にも着手したいと考えている.
コンピュータ科学,コンピュータプログラミング,情報処理技術a,情報処理技術b,環境情報学概論1・2,基礎セミナー1・2,専門セミナー
情報科学部顧問,女子サッカー部顧問
本研究では,ビジネスそのものの観点から,「インターネットが音楽業界に与える影響」,「ブロードバンドを活用したコンテンツビジネスの現状と今後」,「ネット銀行の将来」などについて考察し,ECでのビジネス成功要因を抽出している.一方,技術的な観点からは,「電子マネー技術の進展と普及拡大での課題」,「インターネットセキュリティの現状と今後」などのテーマに取り組んでいる.
資源配分問題は,仕事の集合,資源の集合,そして仕事の資源への写像の3つ組として定義される.多くの資源配分問題は仕事の集合,資源の集合へ構造を与えることによって,また,写像へいろいろな制約を与えることによって生み出せる.これらの基本的な考え方をもとに,新しい資源配分問題とそれを解くための方法を提案し,その方法を物流拠点のシステム設計に適用した.以上を四日市大学環境情報論集に投稿した.
データ統計処理,e-コマース,経営情報システム論,企業情報システム論,経営情報システム論演習,情報処理技術b,現代情報科学,基礎セミナー1,基礎セミナー2,専門セミナー,卒業研究セミナー
制作現場としてのスタジオの設計,測定及び評価-
映画音声制作用サラウンド音響スタジオの設計,測定,評価-----わが国初のDVDサラウンド及び映画音声制作の可能な高品質中型スタジオであるパッチワークスタジオを東京に建設
熱帯雨林に代表される自然音に豊富に含まれる超音波成分はヒトをリラックスさせる.超音波を含んだ再生音による町の活性化を国際科学技術振興財団と共同研究,フィジビリティースタディを終了設計段階に入る.
音楽環境論1,2,イベント制作論,基礎セミナー1,2,専門セミナー,卒業研究セミナー
『現代ビジネス法学』共著,嵯峨野書院,2003年4月30日発行の第7章「経済法」と第11章「環境法」の改訂に向けた準備を進めているところである.担当している章は両者とも毎年のように制改廃が行われているところでもあるので,逐一把握しておく必要があると考えている.特筆すべき点として「環境法」で廃棄物処理法に新たな動きが出ている.産業廃棄物の不法投棄対策の強化などを目的に環境省が今国会に提出する廃棄物処理法改正案である.内容は,脱税目的の重油と灯油を混ぜた不正軽油の製造過程でできる有害物質の硫酸ピッチの保管や運搬などを原則禁止し,違反者に同法では最も重い懲役5年以下または罰金1000万円以下を科すなど,不法投棄関連の罰則を新設したのが柱になっている.
本年度は,三重県のRDF(ごみ固型燃料)施設の爆発事故でも問題となった生ゴミのRDF化への限界といったことに着目してきた.現在,世界中にある廃棄物焼却施設の総計の約3分の2が日本に集中しているといわれている.わが国では,産業廃棄物について50%程度は再生利用されているが,生ゴミ(食品廃棄物)が大部分を占める一般廃棄物に限ってはわずか1%程度が再生利用されているにすぎない.生ゴミは資源性が高いにもかかわらず,その大部分は焼却埋立てされている.法的な対応として,2000年5月の国会で「食品リサイクル法」が制定されている.この法律を中心に問題点を指摘し,対策は研究を通して提案していきたいと考えている.
法学,環境のための法学,環境法,環境マネジメント法,基礎セミナー1・2,専門セミナー,卒業研究セミナー
経済法a・b(経済学部)
カンボジアの酸性土壌を改良してゴムの木植林の生育を助長し,とうもろこしなどの食糧生産の収量を増大させ,そのための土壌改良材に石炭火力発電所からのアルカリ性の灰を有効利用する可能性を検証すべく,ポット試験をプノンペン市の関係機関に依頼した.
豪州のアルカリ土壌改良を石炭火力発電所から発生する脱硫石膏で行ない,植林を可能にする検証実験が3年経過し,さらに3年継続する契約をクィーンズランド大学との間で結んだ.また,脱硫石膏の施用によりアルカリ土壌の特長である土壌の微粒子化が改善され,土壌粒子の凝集を確認した.
豪州の酸性土壌に関して,日本の石炭火力発電所から発生する石炭灰を利用して土壌改良材を作り,それを適用して土壌改良し,バイオマス生産や植林を可能にするコンセプトを提案し,日本で試作された土壌改良材の有功性を化学分析により評価するプロジェクトをクィーンズランド大学との間で立ち上げた.これに引き続いて,1ヘクタール規模の実証実験を行なう準備を行なっている.(以上は(財)電力中央研究所において新田が主となり実施しているもので,豪州のプロジェクトはクィーンズランド大学との共同実施であり,アルカリ土壌改良においては,北陸電力とも共同で実施しているプログラムである.)
流動層燃焼から発生したアルカリ性の石炭灰をプノンペンに送り,ポット試験の内容を計画して関係機関に依頼した.
脱硫石膏を用いたアルカリ土壌改良・植樹実験では樹高が3メートルに達するまで生育が認められた.また,土壌改良効果は,土壌の一次粒子が凝集して高次構造になっていることを確認した.石炭灰土壌改良材を用いて酸性土壌改良を行なうアイディアを提案し,その経済性を検討したところ,現在の経済条件の下では沿岸地域の土壌改良を行なう場合には経済性が成り立つが,500km程度以遠であると,さらなる付加価値を加えるなどの工夫を要することが判った.
地球環境論1,2,資源エネルギー論1,2,専門セミナー,卒業研究セミナー
(財)電力中央研究所,豪州クィーンズランド大学Adjunct Professor
都市と農村が競合する都市郊外における土地利用計画のあり方に関する研究は,私の一貫した研究テーマである.都市計画と農村計画と区別するのではなく,都市農村計画とする計画概念の確立が必要であり,以下のように研究領域は広い.
この研究の一環として,日本建築学会ラーバンデザイン小委員会において「都市と農村の共生」論について,論議を深めてきた.この間の小委員会の論議を総括した「ラーバンエリアの諸相とラーバン像」を発行した.
足元の地域をフイールドとした研究は,都市計画研究姿勢としても学生教育の点でも大切だと考えている.その意味で「四日市の都市構造に関する研究」を四日市大学就任以来進めている.特に,四日市公害を都市計画論的に研究することを課題とし,四日市の工業都市としての建設が始まった戦前の地方都市計画委員会の四日市都市計画臨海土地区画整理計画,今の中心市街地の構造を決定付けた戦災復興土地区画整理の計画,石油コンビナートを中心とした都市形成に影響をもたらした1960年の四日市総合開発計画の構想,に関する資料を収集し,分析している.四日市の中心市街地は戦災復興土地区画整理事業で整備されているが,近年中心市街地としての活力が停滞しており,まちづくりの課題となっている.本年度はゼミ演習の一環として四日市市と同様に中心市街地が戦災復興土地区画整理事業で整備された桑名市,津市,伊勢市加えた4市の「中心市街地活性化計画」を調べた.
都市計画論a,都市計画論b,地域開発と環境,都市活動と環境,環境情報学概論1,基礎ゼミ(居住環境と都市計画),専門ゼミ(居住環境と都市計画),卒論ゼミ(居住環境と都市計画)
津市立三重短期大学(生活環境論)
日本の中世から近世の移行期の特質を明らかにするため,当時期に登場した織田・豊臣政権を対象とした政治史を研究課題としている.特に中央政権の地域的な政治展開を究明するため,畿内及び近国地域を研究対象としている.本年度は,紀州を中心とする地域史研究,北伊勢地方の近世史料集編纂,徳川家康文書の基礎的研究などを行なった.発表論文・図書,作品1・2は,街道を中心に地域史を考えるシリーズの紀州に関する巻で,何れも戦国・織豊期の紀南・紀北地域の歴史的展開(「山城と戦国の豪族」「雑賀惣国」)を執筆した.発表論文・図書,作品3は,戦国期に登場した村落結合である雑賀惣国と織豊政権の戦いの過程から,雑賀惣国の結合とその構造を明らかにしたものである.発表論文・図書,作品4・5は,徳川家康(松平元康)の花押の変遷を明らかにしたものである.家康は政権として権力基盤が整うまで,たえず小差な花押の変更を行なっており,元康期・家康期ともにこうした花押の変遷は,家康の政治的状況の変化に伴うものと論じた.発表論文・図書,作品6は,桑名郡多度町の自治体史『多度町史』の近世史料編で,全体解説の1章・4章,「初期史料」や各家文書の史料校訂・解説などを行なった.発表論文・図書,作品7は,ここ数年つづけている連載の史料紹介で,四日市市立博物館の市民ボランティアの方々が解読された同館所蔵の「四日市宿清水本陣文書」を添削・校訂したもので,併せて同文書の解説も執筆している.
歴史学a,b,人間と文化a,環境史,基礎セミナー,専門セミナー
愛知学院大学(地域史特講1C)
1999年9月30日に茨城県東海村のJCO(株)東海事業所で起こった臨界事故の原因に関する調査と考察をおこなった.事故は,危険な中濃縮ウラン(235U存在度,18.8%)の濃厚溶液の取扱中に起こった.このような危険な物質が気楽に扱われていたことは驚くべきであり,この事故は日本の「原子力平和利用」が抱えている問題の本質を写す「鏡」でもある.原子力安全委員会が設置した「事故調査委員会」は十分な原因解明をせずに同年12月24日に報告書を提出して解散したが,報告書の内容が不適当であったこともあり,政府と独立の組織による検討が望まれていた.(今では,原子力安全委員会に関係する当事者も事故調査委員会の設立目的が事態の収拾にあったことを認めている.)原子力資料情報室(NPO法人)と原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は共同で「JCO臨界事故総合評価会議」を設置し,多角的な面からの検討をおこなった.古川は,放射能と放射線に関する技術的な問題の検討にあたるとともに,代表として全体の取りまとめ役の任もはたした.社会活動的な面と研究的な面を併せもつ活動である.様々な観点に基づく検討の結果として,発注元の核燃料サイクル開発機構(旧動燃)と科学技術庁の責任が重いことは明らかになった.また,JCOの親会社である住友金属鉱山(株)も子会社の窮状を知りながら事態を放置した点でその責任は重い.長期にわたる調査と結果の解析が望まれている.水戸地方裁判所で進められていたJCO職員を被告とする刑事裁判の判決は2003年3月3日に言い渡され,被告側が控訴しなかったため判決は確定した.同年秋に裁判に関わる厚いファイル50冊に及ぶ膨大な資料が公開され,そのコピーが入手できた.資料の分析はなお中間段階にあるが,現在までに得られた結果によっても事故の背景の知られていなかった事柄が明らかになりつつある.今後の資料精密な分析によって今後の日本の原子力開発にとって有益な教訓が得られると期待している.
小村和久(金沢大学)はJCO事故の調査研究の過程で,JCO敷地内に長期間放置した金の中に通常の地域より多量の198Au(半減期,2.7日)が生成していることを発見した.198Auは金の安定同位体である197Auが遅い中性子を捕獲して生じるので,その地点で中性子が多く存在することを示す.中性子の起源としては(1) 238Uの自発核分裂と(2)アルファ線による核反応が考えられる.198Auの生成量が低濃縮ウランを含む六フッ化ウランを保管している場所の近傍で大きいことと中性子発生量の計算結果から,特に濃縮ウランの中では19F(α,n)反応による中性子発生の寄与が重要であると結論した.
藤田祐幸(慶應義塾大学)は2003年5月から6月にかけてイラクを訪れ,多くの場所の放射線強度を測定し,その場所の写真を撮影し,砲撃された戦車の内側などを濾紙でふき取った試料(スミア試料)などを持ち帰った.現地における放射線強度は携帯用ガンマ線測定器によって測定された.バグダッド市中心部に位置する「計画省」周辺の調査では,裏庭で7発の劣化ウラン弾と30個のアルミニウム製のさやが発見された.劣化ウラン弾表面における放射線強度は,1個の砲弾についてもバックグラウンドの100倍に達した.この事実をもってイラク戦争における劣化ウラン弾の使用はほぼ証明されたが,採取試料の小村和久による精密ガンマ線測定によって確証を得ることができた.天然ウランの中では0,72%である235Uの存在度が採取試料では0.20%まで減少していた.
環境化学a,環境化学b,環境分析化学・実験,卒業研究セミナー
During this past year, I continued work on a curriculum project designed to introduce students to the phenomenon of Global English. The purpose was to look at language use worldwide and examine the role English plays now and will play in the future. I also developed further curriculum on proverb use in various cultures as a way to show students that despite differences, cultures have many similarities. In addition, I continued my study of the history, as well as the financial and legal aspects of higher education policy in America. Finally, I began an in depth study of the Japanese system of education, and in particular how reforms will affect English education.
English Communication Kiso, English Communication 1, Kiso Seminnar, Seminar 1
昨年度に引き続き,交通需要予測を行う際に必要な「交通需要予測手法」とその投資効果の評価手法である「財務・経済分析手法」について,一連の作業内容・手順を習得するのに有用な例題モデルの作成と表計算ソフトによる解法を前提とした教材化を行った.今回の改良点は,大きく以下の2点である.
第1の改良点は,交通需要予測で用いられるデータは人口や交通量といった整数値であり,計算過程で四捨五入によって整数化を行うと,特に交通量の場合,OD表として集計する際に行方向の集計値と列方向の集計値とで誤差を生じることがある.こうした誤差を適正に配分する(行方向の集計値と列方向の集計値を一致させる)ためのアルゴリズムの開発を行った.第2の改良点は,計画対象地域内に大型ショッピングセンターが開店したり,大規模な工場などができたりした場合,特定地域に交通が集中し,新たな交通渋滞が発生することが考えられる.そうした交通需要の変化を伴うような地域開発プロジェクトと,その渋滞解決策となる交通プロジェクトを併せて例題として想定するとともに,その解答例の作成を行った.
遺伝的アルゴリズムは,自然界のシステムの適応過程を説明し,生物の進化のメカニズム(環境への適合度が高い良好な遺伝子を増やし,悪い遺伝子を淘汰し,生存した物同士で交配することを繰り返す)を模擬した学習的なアルゴリズムである.本研究は,信号オフセット(青現示の開始タイミング)パターンを複数の遺伝子にみたて,こうした遺伝的アルゴリズムを適用することによって全システムの最適化を図り,交通状況に適した信号制御パラメータ値を求めることを目的としている.本年度は,遺伝的アルゴリズムに関する基礎的な研究を行うとともに,既存の他研究のリサーチを行った.
近年,モータリゼーションの進展により,交通渋滞が恒常化してきている.それに伴い,排気ガスによる大気汚染,騒音・振動等の公害を引き起こし,また燃料消費量の増加に伴って化石燃料の枯渇が懸念されている.こうした問題を解消するためにはバス,電車,タクシー,新交通システム等の公共交通機関への利用の転換が望まれる.本研究では,公共交通機関利用促進の観点から,国内外で取り組まれている施策を数多く調査するとともに,その効果と課題について整理を行った.
都市交通と環境(生活環境論1),都市交通システム論,コンピュータリテラシ(基礎プログラミング),情報処理技術a(コンピュータのハード),環境情報学概論1(環境・情報文化論1),環境情報学概論2(環境・情報文化論2),基礎セミナー1,基礎セミナー2,専門セミナー,卒業研究セミナー.
岐阜大学工学部(測量学実習1),岐阜大学地域科学部(地域振興論).
建築様式 窓 ステンドグラス ひさし バルコニー 絵画 タペストリー等
映像環境論1,2,メディア産業論1,メディア産業史,照明セミナー(基礎,専門,卒業)
本年度もカリブ海地域独自の歴史的,社会的な経緯から生まれた「異文化融合」や「差異による相互肥沃化」といった複数文化への視点が,急速に拡がりつつある現代社会そのものに対して多くの示唆を含んでいるという観点に立って,カリブ在住作家および英米へのカリブ移民一世,二世作家について,その視点を中心に探っている.その成果は,"Racial Stance of Chinese in Willi Chen's King of the Carnival"(「四日市大学環境情報論集第7巻第1号」),"Between Home and Home: Glocalizing the Mind in the Work of Edwidge Danticat"(unpublished: Rockefeller Foundation Bellagio Conference, Italy, August 27-September 1, 2003),「平和のための記憶―エドウィージ・ダンティカの「語り」の文学世界」(『リーラー「遊」Vol.3』),「カリブ海世界―終わりなき変容」(『季刊民族学』No.105)および「東京新聞」「中日新聞」(2月6日付)文化欄掲載の「世界の文学―ガイアナ」等に発表されている.
本年度は,エリック・ウィリアムズ著『資本主義と奴隷制』(明石書店)を監訳出版した.原著出版からちょうど60年目にあたる今年,出版以来絶えず議論を巻き起こしながらも論破されることなく現在に至っている「ウィリアムズテーゼ」を,新訳によって復活させた.なお本書は,ユネスコの世界遺産に登録されているエリック・ウィリアムズ・メモリアル・コレクション(EWMC)に収蔵されることが決まった.
本年度も,グローバルとローカルの関係を文化的,心理的に位置付ける試みを,文学研究の枠組のなかで行った.その過程で,沖縄国際大学での夏期集中講座(8月)やニューヨーク市立大学クイーンズ・カレッジでの特別講義(2月)等における学生の反応は大いに参考になった.同じようにグローバライズされていても,文字どおりエスニシティの高い地域ではそうでない地域に比べ,ローカルという概念がそれに抗する形で毅然とした位置を安定的に保っていることが実感できた.
英語コミュニケーション基礎,英語コミュニケーション1・2,英語講読表現1
名古屋外国語大学外国語学部(英語講読・文法),松阪大学政策学部(講読英語,総合英語),沖縄国際大学文学部(英米文学特殊講義・夏期集中)
「環境科学としてのエコロジーの創立者=エレン・スワロー研究の先行史の調査」
環境のための思想論,科学技術史,中国語コミュニケーション3,基礎セミナー,専門セミナー,卒研セミナー
名古屋工業大学「科学文化論」「科学思想史」担当(前期),岐阜県立看護大学「科学史」担当(後期)